
村民の皆さん、今回は、市町村の最重要課題である「地方創生」を取り上げます。
国が掲げる「地方創生」とは、一言で言うと、地方経済を振興し、若者を中心に地方の人が地元で職を得、豊かに暮らせるようにしよう、そして、人口減少対策もしていこうというものです。
「国のまち・ひと・しごと創生総合戦略は?」
さて、国の存亡に関わる人口問題、出生率向上をみてみると、国は、長期ビジョンで2060年に1億人程度の人口を確保するとしているが、全く具体的な政策が示されていない。このようなことで、1億人の人口は確保できるのか、全く理解できない。
また、出生率では、「若い世代の希望が実現すると、出生率は1.8程度に向上する」と言っているが、若い世代の希望をどうやって実現するのか、これも、具体的に示していない。国は、このような願望的なこと言うのではなく、若者世代に出生、子育て等に関して魅力ある大胆な政策を示して、実行しないと出生率は上がらない。
国は、まち・ひと・しごと創生総合戦略(概要)の中で、従来の政策の検証として、地方の人口流失や少子化に歯止めがかかっていない要因を自ら明らかにしている。
その内容は、(1) 府省庁・制度ごとの「縦割り」構造、(2) 地域特性を考慮しない「全国一律」の手法、(3) 効果検証を伴わない「バラマキ」、(4) 地域に浸透しない「表面的」な施策、(5) 「短期的」な成果を求める施策の5点である。
また、今回の地方創生は、前記の5点の反省を踏まえ、従来のものとは違う工夫がみえるが、よくみてみるとボロが見える。
まず、地方創生は、政府一丸となって行っているようにみえるが、地方創生担当大臣が頑張っているだけの感が否めない。アベノミクスと同様に地方創生そのものが、各省庁の寄せ集めであり、縦割り、全国一律、バラマキ構造は依然として改善されていない。
そして、国の責任である人口問題では、人口減少を煽り、地方に丸投げするようでは、いかんともしがたい。
「飛島村地方版総合戦略は??」
さて、飛島村地方版総合戦略(平成28年3月版)をみてみますと新規事業は乏しく、既存事業の継続であります。将来目標人口は、総合計画と同様に5,000人目標(2020年度)であります(2016年7月:人口4,571人)。その戦略の中に本村の将来推計人口がいくつか掲載されていますが、いずれも人口減少を示し、厳しい数値を出しています(2040年推計人口:2,983~3,844人)。
また、若者世代をターゲットとした大胆な人口増施策を実施しなければ、現状の人口維持は非常に難しいと指摘しています。
これを受けて、今回の目標人口5,000人は、大半が既存事業の継続である本村地方版総合戦略で達成できるか、疑問であります。
唯一、住宅地開発(渚地区)による人口増は、見込めるが、これは一時的なものであり、長期的に見れば、人口は減少傾向にあります。
国は、将来の人口は減ると言っているが、他方で地方に人口を増やせとも言っていない。国は、人口計数それよりも人口減少を食い止める、かつ、地方創生に結び付く大胆な施策を期待しているのです。
言わば、自治体の覚悟を聞いているのです。地方は、明らかに、人口減少時代に入ったことを認識し、いつまでも、人口計数の右肩上がりの計画を策定するのではないということです。
今回の地方創生を契機に今までの延長ではなく、発想の転換を図り、自ら考え、自ら施策ができる体制にしていかないと負のスパイラル(悪循環)から抜け出せないことを肝に銘じる必要があります。
「魅力ある大胆な施策が必要!!!」
今回の本村総合戦略で指摘されているのにかかわらず、住民アンケートの村民意向を反映した魅力ある大胆な施策が、ありません。これでは、人口減少傾向に歯止めがかかりません。
本村特有な豊かな財政をこの地方創生で、村民のために有効に使わないと人口を始めあらゆるものが、今後、じり貧になっていきます。
なお、使い勝手の悪い公共交通は、抜本的な改革を行う必要があり、保育サービスも多様なメニューを揃え、充実する必要があります。
第一次ベビーブームの団塊の世代(昭和22~25年)が、いなくなる30年後(2050年推計人口:2,689~3,639人)には、急激に人口は減ります。
(2040・2050年の推計人口は、飛島村地方版総合戦略より)
飛島村消滅の危機感をもって、村長始め職員、議員の皆さんは、村づくりに取り組んでもらいたいものです。
※「とにか」とは、飛島の「と」、日本の「に」、変えるの「か」の頭文字をとってつけた名称です。「とにか会」は、身近な地域から、暮らしを見つめ直し、村民の幸せを追求する村づくりを目指して、運動を展開していきます。